近年、テレビでもネット動画を楽しむようになりましたが、その主流の1つがストリーミングです。
ストリーミングの概要やテレビでストリーミングを楽しむ方法、スマートテレビがおすすめな理由、スマートテレビ選びのポイント、おすすめのスマートテレビについて解説します。
ストリーミングとは
ストリーミングとは、インターネットに接続した状態で映像・音楽などのコンテンツが楽しめる配信方式のことを指します。
データをすべてダウンロードした後に視聴を始めるのではなく、データをダウンロードしながら追いかけるように再生するのが特徴です。
1GBのファイルのダウンロードにかかる時間は、100Mbpsでおよそ1分~3分、10Mbpsは15分~30分かかります。
通常であればダウンロードが完了するまで待たなければならないものの、ストリーミングなら読み込んだ部分からすぐ再生できるのです。
また、データをタウンロードしないため、端末のストレージ容量を使わないといったよさもあります。
ストリーミングには「オンデマンド型」「ライブ型」の2種類があり、厳密には手法が異なります。
「オンデマンド型」は、パケット化されサーバーに保存されたデータを、ユーザーの任意のタイミングで再生・利用する仕組みです。
この形式においては、再生している時に早送り・巻き戻しといった動作を行うこともできます。
「ライブ型」は、生配信など、リアルタイムでコンテンツを配信する仕組みです。
オンラインでのセミナー・講演など、再生を限定させたい場合に活用されます。
テレビでストリーミングを楽しむ方法
ここからは、テレビでストリーミングを楽しむには、どんな方法があるかを見ていきます。
方法によって準備するものが変わるので、確認しておきましょう。
ストリーミングデバイスを使用する
ストリーミングデバイスとは、Amazon prime videoやNetflixといったVOD(ビデオオンデマンド)などの配信サービスをテレビ・モニターなどで視聴するための機器です。
スマホ・タブレット・パソコンといった画面の小さな端末ではなく、テレビなどの大きな画面で映画や音楽、ネット動画を楽しめるのが魅力です。
ストリーミングデバイスには「スティック型」「ボックス型」の2種類のタイプがあります。
「スティック型」は、スティック状のデバイスをテレビ・モニターのHDMI端子に差し込んでWi-Fi接続し、VODなどの配信サービスを視聴するタイプです。
Amazon の Fire TV Stick(ファイヤー TV スティック)、Chromecast(クロームキャスト)などが有名です。
価格としては4,980円~8,000円前後の製品が多く、ボックス型よりリーズナブルで購入しやすいのが魅力でしょう。
「ボックス型」は、箱状の機器をケーブルでテレビとつないで使用します。
スティック型より処理能力が高く、ストレージ容量も多い高性能なタイプです。
AmazonのFire TV Cube(ファイヤー TV キューブ)、Apple社のApple TVなどが有名です。
価格としては、14,980円~20,000円前後の製品が多く、スティック型の2~3倍の値段になりますが、その分高性能なのが魅力です。
スマートテレビで視聴する
テレビでストリーミングを楽しむもう1つの方法が、スマートテレビを使用することです。
スマートテレビは、テレビ本体をインターネットに接続することで、オンライン上のさまざまなコンテンツを楽しめるテレビです。
従来のテレビの機能に加え、VOD・Webサイト・SNSなどを利用でき、スマホ・タブレット・パソコンと連携もできます。
モデルによっては、Android用のアプリをそのまま使用できる製品もあり、スマホ・タブレットなどで楽しんでいたゲームなどを大画面で楽しめます。
スマートテレビは次世代のテレビといわれており、ストリーミングを楽しむ方法として候補に入れたい選択肢です。
次の章では、スマートテレビの魅力について解説していきます。
スマートテレビがおすすめな理由
ここからは、スマートテレビがストリーミングに適していておすすめの理由を解説します。
ストリーミングデバイスとは、どのような違いがあるのでしょうか。
ストリーミングデバイスが不要
スマートテレビは、本体のみでストリーミングやオンライン上のコンテンツが利用できるため、ストリーミングデバイスを購入・使用する必要がありません。
スティック型をテレビに差し込む手間や紛失リスク、ボックス型の場所を取るといった手間もなくなります。
もちろん、スマートテレビはストリーミングデバイスと同じことができ、性能面で劣るわけでもありません。
むしろ、スマートテレビは販売されたばかりの最新機種であるため、画質・音質ともに高性能な製品が多く、迫力のあるストリーミングを楽しめます。
動画配信サービスが最初から入っている
多くのスマートテレビは、Amazon prime video・Netflix・U-NEXTといった、大手VODの配信サービスが最初からホーム画面に入っているのも魅力です。
リモコンのボタンにVODが割り当てられている製品もあり、テレビ機器に詳しくない人でも、ワンボタンで簡単に配信動画を楽しめます。
インターネットに接続するだけで、大画面で映画・ライブ・ネット動画などが楽しめるのです。
その他インターネットを介した機能が充実
その他にも、スマートテレビは通常のテレビにはないさまざまな機能を利用できます。
まず、アプリが豊富にあるため、従来は専用機器を外付けして利用していたゲーム・カラオケといったコンテンツを、本体のみで楽しめます。
また、 Webサイトを閲覧したり、SNSと連携したりできるため、より現代的な楽しみ方ができるのも魅力でしょう。
セキュリティソフトも導入できるため、ウイルスなどの脅威の心配もありません。
テレビの大画面を活かしながら、スマホ・タブレット・パソコンのように利用できるのがスマートテレビの大きな特徴です。
スマートテレビ選びのポイント
次に、スマートテレビを選ぶ際のポイントについて見ていきます。
よく考えずに選んでしまうと後悔する可能性もあるので、購入前にチェックしておくべきポイントを押さえておきましょう。
好みの動画配信サービスに対応しているか
テレビを利用して何を視聴するかは、人によって異なります。
そのため、好みの動画配信サービスに対応しているかを、事前にチェックすることが大切です。
たとえば、映画好きならAmazon prime video・Netflix・U-NEXTなどのVOD、音楽好きならSpotifyなどのアプリやライブ動画サービスの有無を確認しましょう。
ネット動画が楽しみたいなら、YouTubeやTikTok(ティックトック)などのアプリが利用できるかチェックしてください。
また、アプリゲームを利用したい場合は、スマートテレビ専用のアプリのみ利用でき、Android用のアプリが利用できない製品もあるため、事前に確認しましょう。
ディスプレイの種類
ディスプレイの種類は、とくに目的・予算を考慮して選ぶ必要がある部分です。
ディスプレイには「有機EL」「ミニLED」「フルHD」「HD」の4種類があります。
映像の質にこだわるなら、有機EL・ミニLEDのディスプレイを採用しているスマートテレビがおすすめです。
フルHDの約4倍の解像度がある4K、16倍の解像度の8K対応の製品もあり、画面サイズが大きくても繊細で鮮明な映像美を楽しめるのが魅力です。
また、視野角も広い製品が多いため、ファミリーなど複数人での視聴にも向いています。
予算を抑え、リーズナブルに購入したいなら、フルHD・HDのディスプレイを採用しているスマートテレビがおすすめです。
有機EL・ミニLEDより画質は劣るものの、直下型なら高いコントラストの美しい描画が楽しめ、ISPパネルなら視野角が広いといったよさもあります。
とくに画面サイズが小さめの製品の場合、フルHD・HDでも十分キレイな画質でネット動画を楽しめるため、1人暮らしの方におすすめです。
採用しているOSの種類
スマートテレビに採用されているOSは、Googleが提供している「AndroidTV OS」「GoogleTV OS」と「各メーカーの独自OS」の3つに分けられます。
OSによってできることとできないことがあるため、購入前にどのOSが採用されたスマートテレビなのか確認しておきましょう。
AndroidTV OS
ソニー・SHARP・東芝など、さまざまな大手メーカーが採用しているOSです。
Amazonプライムビデオ・Netflix・U-NEXTなどのVODと、Googleplayにも対応しているため、Android用のさまざまなアプリを楽しめるのが魅力です。
GoogleTV OS
ソニーや海外メーカーのTCL(日本未発売)などのスマートテレビが採用しているOSです。
「GoogleTV OS」は「AndroidTV OS」の一種であるため、基本的には同じ機能が使えるようになっています。
「AndroidTV OS」では分かれている機能を1つのタブに統合し、より使いやすくなっているのが「GoogleTV OS」の特徴です。
各メーカー独自OS
「Panasonic(パナソニック)の「VIERA OS」、東芝の「REGZA OS」、海外メーカーならハイセンスの「VIDAA」などがあります。
Amazonプライムビデオ・Netflix・U-NEXTなどの主要なVODには対応していますが、ゲームなどのAndroidアプリは利用できない製品も多いため注意が必要です。
スピーカー
映画・音楽などを迫力ある音響で楽しみたい方は、スピーカーの性能も購入前にチェックしておきましょう。
たとえば、迫力の重低音を生み出す東芝の「レグザパワーオーディオ」、映像と音の一体感を作り出すソニーの「アコースティック技術」などがあります。
用途によっては、音声出力の値も要チェックです。
リビングに設置するなら、音声出力が20~80Wあれば、テレビ番組や動画の音声をしっかり聞くことができます。
映画・ライブ動画などの迫力を得たいなら、50W~80Wの高出力の製品がおすすめ。
その場にいるような臨場感がほしいなら「Dolby Atmos(ドルビーアトモス)」に対応のスマートテレビを検討してみてください。
「Dolby Atmos」は、スピーカーの前後左右の位置、高さの高低によって立体的な音を再現する音響システムなので、臨場感のある音を体感できます。
録画機能の有無
ネット動画だけでなく、地デジ放送やBC/CS放送も楽しみたいなら、録画機能が搭載されているかどうかも重要です。
内蔵HDDに録画できるモデル、外付けHDDへ録画できるモデルに分かれているので確認しておきましょう。
合わせてチューナー数もチェックしてください。
内蔵チューナーの数が多いほど同時録画できる番組が増え、便利なためです。
録画でとくに優れているのが東芝のスマートテレビで、最大6チャンネルを同時録画できる「タイムシフトマシン」は全メーカーの中でもとくに便利な録画機能です。
その他便利な機能
その他にも、スマートテレビには購入前にチェックしておくといい便利な機能として「音声アシスタント」「ゲームモード」があります。
音声アシスタントは、リモコンではなく音声によってスマートテレビ本体やアプリを操作できる機能です。
リモコンのスピーカー機能やスマートスピーカーに話しかけるだけで操作でき、電源のオン・オフ、音量調節、動画検索など、操作全般を声で行えます。
スマートテレビによって有無が異なりますので、必要な人は購入前に確認しておきましょう。
ゲームモードは、遅延の低減(反応速度1ms以下)、高リフレッシュレート(144Hz)で本格的なゲームが楽しめる機能です。
とくにFPSやアクションゲームを本格的に楽しみたい方におすすめの機能ですので、ぜひチェックしてみてください。
メーカー別おすすめの最新スマートテレビ
ここからは、メーカー別のおすすめの最新スマートテレビをご紹介します。
それぞれ性能・サイズ展開が異なりますので、ぜひ参考にしてください。
TVS REGZA Z870N series
REGZAシリーズ「Z870N series」は、ディスプレイのバックライトにミニLEDを配置した最新のスマートテレビです。
地デジ・BS・CSをはじめ、4K放送やネット動画を高画質で視聴できる最新エンジン「レグザエンジンZR」を搭載し、美麗な映像を楽しめるのが魅力です。
また、コントラスト・精細感を自動調整し、滑らかな高画質に再現する「ネット動画ビューティー」機能により、高品質な画質で動画コンテンツを楽しめます。
音響関連では、Dolby Atmos(ドルビーアトモス)に対応し、7個のスピーカーによって迫力のある立体的なサウンドを生み出す独自システムも構築。
リモコンのボタンにはAmazonプライムビデオ・Netflix・U-NEXTなどVODの大手配信サービスが配置されており、ワンボタンでネット動画の視聴ができます。
サイズは55V型・65V型・75V型と3つ展開しています。
画質・音質・ネット動画がどれも高品質なスマートテレビで、大きめのサイズ展開の観点からファミリーにもおすすめです。
Panasonic(パナソニック) TV-43W80A
Panasonicのビエラ(VIERA)シリーズ「 TV-43W80A 」は、ディスプレイには直下型高輝度液晶を搭載しており、4K(HDR)の映像を楽しめるスマートテレビです。
100万通りの映像データを学習したAI(人工知能)を搭載し、シーンに合わせて画質を自動調整してくれるため、最適な画質で映像を楽しめるのが大きな魅力でしょう。
音響関連は、Dolby Atmos(ドルビーアトモス)に対応、さらにクリアな音を再現する高出力アンプも搭載しているため、立体的かつ聞き心地の良い音を体験できます。
ネット動画ではAmazon prime video・Netflixなど4K映像が楽しめるVODが充実、さらにゲームなどさまざまなアプリをテレビで楽しめます。
ゲームモードも優秀で、遅延を防ぐ機能や視認性を向上させる機能もあるため、FPSやアクションなどで本格的な対戦を行うことも可能です。
43V型~75V型まで5種類のサイズがあるため、1人暮らしからファミリーまで幅広いユーザーにおすすめできるスマートテレビです。
SHARP 4T-C65GS1
SHARPの GS1ライン「4T-C65GS1」は、高輝度・広色域・広視野角を実現する「量子ドット有機EL(QD-OLED)パネル」を搭載したスマートテレビです。
正面だけでなく、斜めから視聴しても美麗な映像が楽しめるため、大人数でリビングで見るといった用途にも向いている製品です。
AI(人工知能)を搭載した画像処理エンジン「Medalist S4X」により、ドラマ・ニュース・スポーツなど、シーンに合った画質・音声に自動調整する機能もあります。
音響はDolby Atmos(ドルビーアトモス)に対応、上下にスピーカーを配置した独自構造の音響システムにより、映像とシンクロした臨場感のある音を体験できます。
OSにはGoogleTVを採用し、Amazonプライムビデオ・Netflix・U-NEXTなどVODをはじめ、 GoogleTV オリジナルコンテンツを楽しむこともできます。
55V型・65V型を大きめのサイズ展開に加え、視野角の広さもあり、複数人で視聴するファミリー層に向いているスマートテレビといえるでしょう。
ハイセンス U7N
ハイセンス(Hisense)の「 U7N 」は、海外製品であるため、高性能にも関わらず価格がリーズナブルなことが大きな特徴です。
画質では、4K映像を表現できる自社開発の最新エンジン「HI-VIEWエンジンII」を搭載し、地デジ・BS・CS・4K放送・ネット動画を高画質で視聴できます。
ネット動画に合わせて自動的に画質補正を行うAIシステムを搭載し、映画・ドラマ・アニメ・スポーツなど、さまざまな動画を最適な映像で楽しめることも魅力です。
リモコンのボタンにはAmazonプライムビデオ・Netflixなどが配置されているため、ワンボタンで簡単にネット動画を視聴できるのも良い部分でしょう。
その他にも、高性能なゲームモードやスマホの画面をテレビにシェアする機能、音声操作に対応しているなど、さまざまな便利な機能を搭載しています。
サイズは43V型~100V型まで5種類展開、性能と価格のコストパフォーマンスの良さ、サイズの幅広さから、幅広いユーザーに向いているスマートテレビです。
その他スマートテレビで気になること
最後に、その他のスマートテレビ選びで気になることについて解説します。
よくある疑問ですので、チェックしておきましょう。
スマートテレビの設置に必要なコード類
基本的に、スマートテレビは一般的なテレビと配線は同じです。
つなぐのは電源ケーブル・アンテナケーブルの2つで、インターネット接続は有線もありますが、Wi-Fi接続できる製品なら配線は不要です。
ただし、HDDやスマートスピーカーなどの外付け機器を付ける場合は、別途コード類が必要になります。
ネット動画を観るだけならチューナーは不要か
ネット動画専用のチューナーレステレビが販売しているように、ネット動画の視聴だけならチューナーは不要です。
チューナーレステレビでも、TVer(ティーバー)やDiXiM Playなど、テレビ視聴専用アプリをダウンロードすれば地上波放送を視聴できますので、安心してください。
また、チューナーレステレビは、機能が少ない分、一般的なスマートテレビより価格がリーズナブルなのも特徴です。
スマートテレビの寿命はどれくらいか
メーカーによるOSのサポートを考慮すると、4~5年ほどと考えた方がいいでしょう。
更新サポート対象外になると、利用できないアプリやサービスが出てくる可能性があるためです。
一般的な液晶テレビは20年、有機ELテレビが10年程度と言われているため、寿命としては短いといえます。
ただし、ここで指摘しているのは、OSが古くなることを基準にした、ネット関係の使い勝手が悪くなる意味での寿命です。
ディスプレイや本体の耐久性自体は、一般的な液晶・有機ELモデルのテレビと大きな違いはありません。
地上波放送や一部のネット動画・アプリを楽しむだけなら、10年以上の寿命があるといえます。